| 楽譜が読めないのに、どうやったら曲が吹けるか。サックスを始めて、最初に直面した問題である。 そこで、まずは古道具屋(今はリサイクル・ショップというらしい)に行って、小さなキーボードを買ってきた。 まずはそのキーボードで吹きたい曲を弾いてみる。もちろん楽譜がないのだから、手探りである。 最初は、適当な白鍵から弾きはじめるわけだが、途中で黒鍵がたくさん出てくるようだと、初めの白鍵の位置が間違っていたということで、別の白鍵から始めるのだ。だいたい、黒鍵ってやつが気に食わないのだが。 そうこうするうち、一番黒鍵が少なくて最後まで弾けたら、その最初の白鍵の位置を覚えておく。 そしてその最初の音をサックスで出せば、もうその曲は吹けたも同然である。 しかし、考えてみれば、初期のカウント・ベイシーやヂューク・エリントンのバンドマンの半数は楽譜が読めなかったらしい。 にもかかわらず、あれだけのサウンドを出せるのだから、楽譜が読めないからと言って、サックスが吹けないわけじゃない。 そう思えば、気が楽である。フラットの二つや三つで、オタオタしてはいられない。 さて、今度は「ラウンド・ミッドナイト」に挑戦するか。
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