森「伊藤さんのことまだよく知らないんでお聞きするんですけど、音楽の専門学校とか大学とか出てらっしゃるんですか」伊「いや、俺は出てないですね」森「それはすばらしい。ピアノは小さい頃からやってらしたんですか」伊「5才くらいからですね」森「ジャズに興味を持ったのはどんなきっかけですか」伊「セロニアスモンクですね、街でかかってて気になって」森「根っからのジャズミュージシャンですね」伊「19才くらいの頃ですかね」森「ライブとかはご覧になって」伊「井上淑彦さんとかよく聴きに行ってました」森「ハンサム系がお好きなんですか」伊「ドルフィーに聴きに行ったりしてました」森「あの時代は坂井紅介ってベースが」伊「今自分のバンドで弾いていただいています」森「ご自分のバンドではどんな曲をやってらっしゃるんですか」伊「自分の曲が中心ですかね」森「坂井さんはこちらから何もいわなくても魔法を使ったみたいににっこり笑ってとてつもないことをやってくれるんですよね。山下トリオに憧れて始めたって、なんでベースやるんでしょうね。自分が入ること考えてたのかな。井上淑彦の曲っていうのがまた良くてね。一杯やってたんですがその頃は森山威男グループというより井上淑彦グループでしたよ。演奏方法も考えてくれてたんです。井上の曲が評判になって、CDの版権を買ってイギリスでもCDが出てるんですね」伊「亡くなる2年前くらいにツアーに一緒に行っていただいて、大変お世話になりました」森「優しい男でしたね。酒が強くてね、亡くなるどれくらい前でしたかね、新宿で静かなところで一緒に呑んでたら、バーボン1本空けちゃったんですよ、到底かないやしない」伊「逃げて帰ったことありますよ、『今日は帰してくれ』って」ホントに優しくて、お酒の強い人だったなぁ・・・ 森「今日は『椰子の実』をやりたかったんですけど」伊「メロディーが難しくて」森「できるって」伊「昨日弾いてみたけど無理でした」森「今度やってください」なんだ、淑ちゃんの曲をやるんじゃないんだ・・・。 森「山下洋輔は言葉が先だっていうんですね、今でも唄がやはりないとね、イメージの出しようがない。昔(ステージで一緒に)演奏している人から(やっている最中に)『やめろ!』って言われたりしてね。かわいそうでしょう?」伊「なんでですか」森「やっててうるさいから」伊「わはははは」森「昔富樫雅彦や佐藤允彦がやってるところに行って1曲やらせてください、なんて無謀なことしてましたね。 Softly (as in a morning sunrise)がカッコイイ曲だなって。今日はそれをやってもらおうと思います」
ひとりイントロ?湧いてくる泉のような、わぁかわいい。希望が湧いてくるような、心の底から優しくなれるようなきれいな旋律が。志宏さんのオリジナル曲なんだろうか。ちょっと今度は不安な気持ちにさせるような。これだけ曲想がどんどん変わっていくとは、ワクワクドキドキ。森山さんがブラシで参戦。おやOver the rainbowへ。昔森山さんのCDがあったなぁと思い出した。志宏さん自由自在。どんな状況でも書けちゃうじゃないだろうか?どんなシーンでも弾けちゃうんじゃないだろうか?ピアノっていう楽器の底深さを改めて感じた、才能だな〜!